昨年来、従来の荒らし界と差別化を図り、新たなムーブメントとして発足した「煽り界」。
一見、荒らしを否定したネットのニューカルチャーに見えるが、保身のために自己が直接行動することを避け、他者を扇動し荒らし行為をさせる姿勢には「偽善だ」、「摘発逃れのためで卑怯すぎる」という批判の声もあった。
今回、愛媛県警が主宰者を逮捕したことで、組織の実態解明にメスが入ると思われる。
ただし、煽りという間接犯を明確に取り締まる法律がなく、通称エロゲー法をも駆使するなどの大胆な法運用について法曹関係者からは「別件逮捕であり、言論の自由に対する弾圧で遺憾」(都内の人権・ネット問題に詳しい弁護士)という声もある。
愛媛県警は22日未明、荒らし界との差別化を標榜し、扇動を活動の趣旨としてきた煽り界=接続元・愛媛県=の主宰者・G容疑者をエロゲー取締法違反、ネット上における屎尿的サイト開設及び屎尿的意見発信撒布の罪で逮捕した。
調べによるとG容疑者は昨年頃から単独で荒らし界に出入りしていたが、その言動が周囲となじまず孤立し、新たに「煽り界」なるものを結成し、自己が代表に就任した。
同容疑者が荒らし界と距離を置いた動機は公称「従来の荒らし界の活動は矛盾が多い」とされているが、県警の調べによると実際は追放されたことや、その際に接続元が松山大学のサーバーであることが同界関係者によって暴露され、「荒らしはリスクが高いし、万が一が怖いと恐れた小心的なものにすぎない」(捜査関係者)という。
G容疑者は以降、精力的に煽り界の広報を行い、また自己が直接荒らさず、他者を煽り、特定のサイトを荒らすよう扇動するなどしていた。
これらの行為により一定の認知度を得た煽り界だが、実態は荒らし界からは侮蔑され、また同容疑者のホームページの内容がころころ変わり、そのいずれもがつまらないことから実質は停滞していた。
県警が今回の摘発に踏みこんだ端緒は「Gの行動は全く面白くもないし、エロゲーオタクだからだ」(警察庁幹部)という。
G容疑者の逮捕に際して記者会見した県警の山本捜査一課長は「実体は主宰者一人の団体であることが判明した。今後も継続反復して同様の行為を取り締まり、知的障害者や小中学生が彼らの行動をかっこいいと扇動されないようにしたい」と語った。
なお、今回の事件の背景には常時接続環境が地方に拡大し、引きこもりなどの学生が一種のてんかん発作に陥り、ネットで別人格になる症状を誘発させる『ネット弁慶症候群(今日のことば欄参照)』があることから、地方自治体、文科省や接続業者が警察と連携し、協議の上で再発防止に取り組む。
- 鈴木心如斎
- 2002/12/23 (Mon) 12:03