ありす氏やVVS氏、御堂岡氏等、荒らしの世界において知名度の高い人物を引き込み、多方面で荒らし活動を展開し、現在の「荒らし界」でも話題に上ったiRCことあやしいわーるど@IRCであるが、数日前、拠点であるsc鯖のチャンネルとwideの退避チャンネルに分裂し、今後の方向性が盛んに議論されている。
退避チャンネルはiRC有名固定の縫合氏が作成したチャンネルで、同氏の他数名の人物がop(管理権)を保持している状態。
縫合氏はあくまでsc(カラコルム)がメインであり、いざとなれば-aの後op放棄すると発言しているものの、退避チャンネルには10名前後のメンバーがjoinしており、事態は未だ収束の気配を見せていない。
のみならず、「VVS派=SC 低脳アニオタキモオタ派はwideってことで・・・」などという発言も見られ、今後両チャンネルが併存していく可能性すらある。
事の発端は、sc鯖の管理者であり、iRCのopを現在唯一保持しているCaptain(Cap)氏が、住民の過去ログ荒らしbot排除の要求に対して、「物量荒らし以外は放置」の旨を宣言した事にあった。
しかしながら、現在の安定したsc鯖上の活動についても、以前から不満の声が上がっており、そうした潜在的な不満が今回の分裂騒動に関係している可能性もある。
では、具体的にはどのような問題があるのか。
以下、現在のsc・wideにおいて取り上げられてきた諸点について、考えてみたい。
1) 荒らしの対処
2) 管理権
3) 管理者の適否
4) 方向性
1) 荒らしの対処
これは今回の分裂騒動の直接の動機にもなっている。
IRCはその性質上、荒らしを行いやすく、iRCでは内部・外部の人間が日常的にikun荒らしやログ荒らし、スクリプトを使った荒らし等が行われている。
もっとも、IRCはリアルタイムの会話を行う事に意味があり、掲示板のように過去ログはさほど重要視されない為、荒らし行為に対して制限が行われる事は少ない。
ではあるが、長期に渡る荒らしはリアルタイムの会話にも支障をきたすので、やはり何らかの制限は必要であり、そこで管理権を持った人物が対処するわけである。
Captain氏の方針は物量荒らし以外は放置、であったが、リアルタイムの会話を阻害する要素は物量荒らしだけではない。
過去ログbotとは、チャンネルの過去ログを自動的に取得・解析し、それらを組み合わせた文章をランダムに発言するbotであるが、こうしたbotによる発言は、特に+aという匿名チャンネル、つまりどの発言も誰のものか分からない場所においては、通常のチャンネルよりもより邪魔な存在となりうるのである。
確かに、無制限に規制の要求を受諾することは危険であるが、物量荒らしのみ制限という方針にも、IRCの管理方針としては欠点があったと言わざるを得ないだろう。
これは「IRCとしては」の話だが、いくら混沌を許容するiRCとはいえ限度があるのは言うまでもない。
2) 管理権
荒らしに決定的な解決を与えられるのが管理者であり、管理者に与えられているのが管理権である。
前述の通り、scではCaptain氏がopを保持しており、管理責任は全て同氏にかかってくる。
ところで、scで採用されているircdは、wideで採用されているものとは仕様が異なり、チャンネルの登録が可能である。
通常、IRCではチャンネルは固有の場ではなく、その時々に応じて作成・維持されていくもので、メンバーが誰もいなくなればチャンネルは消失してしまうし、一度チャンネルを抜けると管理権はなくなり、再度別の管理者に管理権をもらわないと管理者になれない。
しかし、scで採用されているircd、DICEでは、チャンネルやニックネームの登録を申請して、チャンネルの管理権やニックネームの使用権を得る事が可能である。その為、安定した管理を行う事が出来る。
一方、wideではopを保持する為に常時接続したり、botや仲間内で管理権を与え合ったりと言ったop維持の作業が必要で、サーバの再起動や回線の状態等を考慮すると、必ずしも安定した運営が出来るとは限らない。
事実、opが悪意のある人物に渡ったり、誰もopを持たない状態になった事のあるiRCはその事実をよく了解しているはずで、今回の分裂についても、「すぐに乗っ取られて終わるのでは」という冷ややかな意見も出ている。
過去にiRCがwideからscへ移転した経緯にもこのopの問題が絡んでおり、iRCを考える時、管理権の問題を抜きにしては語れない。
管理権の問題を解消し、安定した管理が実現されたはずのscに対する不満が、1)の荒らしの対処であった。
管理が必要である理由の一つが、荒らしの対処であったはずなのに、それがきちんとなされていない、という主張である。
では、この他に何か問題点はなかったのか。
3) 管理者の適否
管理者も人間である以上、透明な存在でい続ける事も出来ない。そこには確実に人格が存在する。
そもそも、iRCの管理者としてCaptain氏は適切であるのかという議論である。
少なくとも、一部のiRCerは、同氏に親近感を感じない、または根本的な部分で不信感が拭い切れていないと漏らしている。
この問題は、運営とは直接関係しない個人叩き的ニュアンスで語られる事も多いので、判断は難しいのであるが、では、どのような人物が適任であるのかというと、ある人物は、「スキルは無くともgesu_pcなんかがiRCの神として君臨していれば、恐らく誰もが認めていただろう」と述べていた。
iRCの管理者に求められる素養として、上で挙げられたスキルや親近感の他に、野心もあげられる。
要するに、チャンネルに対して支配権を行使しようとする人物は嫌われがちだという事である。その点、私としてはCaptain氏はよく心得た人物ではないかと考えている。
ともあれ、同氏に対して親近感を抱けないという住民がいる。
4) 方向性
所謂ぁ論の一環としてしばしば話題にあがるのが、iRCとは如何にあるべきかという問題である。
そして、そういう話題が上る場合、往々にして現状に対する不満が見られる。
最近の不満としてあがっていたのは、iRC所属の荒らし達に対する不満である。
iRCは言うまでもなく荒らし組織ではないし、荒らし活動はiRCのイベントの一つに過ぎなかった。
それでも盛り上がっていく荒らしとその追従者達に対して、一部のiRCerは不満を述べ始めていた。その中には、「新参の癖に」というおきまりの表現も含まれる。
また最近では、iRCの姉妹チャンネルでゲームの話題が中心であった-aの隔離チャンネルが、上の荒らし活動と関連して本来のゲームの話題ではなく、単なる-aのチャンネルとして盛り上がりつつあった事も、一部のiRCerの反感を買っていた。
「つまりCapやありす他のkyotowide時代のiRC苦難時代を知らない連中には任せられないってことかね」とは、iRCを管理権を巡った議論の中での発言だが、この中でCaptain氏と荒らしのありす氏が同列に置かれているのが興味深い。
つまり、昨今の荒らし活動のメンバーに対する不満とCaptain氏の管理に対する不満が、「親近感を感じられない」という点で結合されているのではないかという事である。
以上、要点をまとめるとこうなる。
チャンネルの安定した運営を求めてsc鯖に移住したiRCであるが、scに移住した後も、その管理方針に一部のiRCerの間は疑問を抱いていた。一方、荒らし活動の盛り上がりや-aチャンネルでの馴れ合いにも住民は不快感を感じていた。こうした問題が、今回のログ荒らしの対処、そして退避チャンネルの設置に当たって、「苦難の時代を共にしていない、親近感を感じない」という共通項でもって結合され、事態は深刻化しているのではないかという事である。
ただし、ここでは退避チャンネルを設置した縫合氏という(かなり特殊な)人物についてや、祭りとしての要素は現在進行形の問題である為、敢えて考察から省いた。
また、筆者はiRCのログを保存しているわけではないので、史料の詳しい分析は出来ていない。よって、あくまで推論の域を出ない事を断っておきたい。
さて、こうして記事を執筆している現在も、iRCでは丁々発止の議論が繰り広げられている。
今後、両陣営がどうなっていくのか、それは筆者にも想像し難い。
wideもscも一長一短であるし、一部では管理不要論まで飛び出している。以下、退避からの引用である。
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22:20 [anonymous] 任せるも何もだ、元々iRCに委任の必要は無いのだよ!
22:21 [anonymous] iRCはこの先、何年経ってもいつまでも今と変わらず存在し続けるのだろうか
22:22 [anonymous] きっと今のIIや暫定は管理人が消えれば無くなってしまうに違いない
22:22 [anonymous] その時にはまた別の人間が違う物を立てているかも知れないが
22:23 [anonymous] iRCはいつの日もこうやってパブリックなサーバーの中で実態のない世界を創造しているのだろう
22:23 [anonymous] そうだな、iRC閉鎖とatircやCapが宣言しても終わるもんじゃないだろう
22:24 [anonymous] capが宣言してcapの鯖が潰れる可能性はあるが、iRCはまた京都に行ったり東京に行ったり奈良に行ったりするだけさ
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scや今の退避チャンネルがなくなっても、iRCはきっとどこかに存在し続ける。何とも頼もしいではないか。
荒らし界にも見習って欲しいものである。
- k3[Chinko]
- 2005/08/27 (Sat) 00:16