「はぁ、まったくやってられねーじゃん!」 乱暴にドアを開けてサイトの中に入ってきた人物を見て、k3は目を丸くする。 「たかさん、その頬はどうしました」 「誰かと喧嘩でもしたの?」 「いや、そういう訳でもない」 一目で誰かに殴られたと分かる腫れ具合にGが聞けば、キロが否定した。 そのキロも、身体のあちこちに擦り傷を負っている。 騒がしい二人組みに気分を害したのか、カウンターに顔を伏せていたaaa.comがゆっくり顔を上げると、どうせ誰かにちょっかいを出して返り討ちにされたんだろ、と不機嫌な声で呟く。 「そう!それが初心者の癖してメチャ強かったんだよ!」 今思い出してもむかつく野郎じゃん!と歯軋りをしたたかは、誰も聞いていないのにGehoo!Japanで自分達が襲った人物と顛末を事細かに話し出した。 最初はk3もaaa.comも半分以上話を聞き流し、Gだけが真剣に聞いていたのだが、その人物が大鎌を使いさらに柄に幕府の印が打ち込まれていたことを言うと、二人はこめかみを押さえていた。 軽く頭痛がするのはきっと気のせいだと思い込みつつ、k3はたかに言う。 「たかさん、それは死神ですよ」 「死神って、そりゃ大鎌持って死神みたいだったけど…」 「いや、死神本人ですよ」 「どーゆうことじゃん?」 疑問符を頭に浮かべたたかに、k3は三時間ほど前にここを訪れた人物のことを話す。 最初は訝しげな顔をしていたたかだったが、最後の方には顔面蒼白になっていた。 「じゃ、じゃあ俺らが会ったのは…」 「だから、死神本人ですよ」 彼は何故かフェイと名乗ってましたけどね、と続けたk3にたかは縋り付いた。 「やばいじゃん!俺ら、もしかして殺されるって感じ!?」 「知りませんよ、っていうか暑いんでくっつかないで下さい」 「おい、たか。いい加減にしてくれ」 騒がしすぎるたかに堪忍袋の尾が切れたのか、立ち上がったaaa.comは首筋をむんずと掴むと少し離れたテーブルでちびちび氷割りを飲んでいたキロに向かって投げ捨てる。 「俺は眠いんだ、静かにしてくれ」 「すまないな、善処する」 未だに顔面蒼白のたかを受け取ったキロはk3に代金はここにおいて置く、と言うと相方を引きずりながらサイトから出て行った。 「まったく……」 これでゆっくり寝れる、と再びカウンターに突っ伏したaaa.comにここは寝る場所じゃないんですがね、とGと顔を見合わせたk3だったが、彼の睡眠を邪魔するとどうなるかを嫌というほど理解していたので何も言わなかった。 Good luck on your travel |