フェイを中に残し、歴史家は外に出てくる。
 と、正面からFuckin'Kingdomの管理人のk3と八咫烏がやってきた。
 「おや、管理人。こんなところで休憩ですか?」
 「そういうお前さんもサイトをすっぽかしてどうしたんだ」
 「別にすっぽかしたりしてませんよ、aaa.comさんに任せてきましたから」
 「そうかい」
 既に建物の構造を熟知しているのか、歴史家をおいて奥の書庫へと移動し始めた二人に、彼は今、一番奥の部屋のさらに奥には近づかないほうがいいぞ、とだけ言葉を投げかける。
 顔を見合わせた二人だったが、気を付けます、とだけ返事をして奥の書庫へ入っていった。

 ひょこりとk3は本棚の影から顔を出す。
 彼の真似をして八咫烏も本棚の影からそっと顔を出した。
 「……、アレですか」
 「……、アレですね」
 ヒソヒソと喋る二人の視線の先にはうず高く積まれた本の山があり、その中心にフェイが居た。
 下手に近づこうものなら、一刀両断にされてしまいそうな雰囲気を纏っている彼に二人は抜き足差し足でその場を去ると、自分達の目当てのものがある本棚まで移動する。
 「彼は、随分と探し物にご執心ですね」
 脚立を引きずりながらk3が言えば、八咫烏まぁね、と相槌を打つ。
 「まぁ、その気持ちも分かるけどね」
 「でも、世の中には知らない方がいいことがいっぱいある訳ですよ」
 「君が言うとシャレに聞こえないよ」
 「シャレのつもりで言ったんじゃないんですがっていうかここ、本棚高すぎますよね」
 「うん、もうちょっと低くてもいい感じがするね」
 これじゃ整理するのも大変だけど探すのも大変だ、と文句を言いながら2人は脚立によじ登って目当てのものを探していたが、やがて見つかったのか彼らは資料館を後にした。



Good luck on your travel
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#11.5 歴史資料館